世界でいちばん、大キライ。
(ヒサ兄のニオイ……まだ加齢臭ってやつ、しないみたい。なんて、そんなこと言ったら怒るんだろうけど)
目を閉じてそんなことを無意識に考える。
すぐにでも眠ってしまいそうな意識の中で、麻美がぎりぎりまで気にしていること――。
(……桃花さん)
体が言うことをきいてくれないように、徐々に思考までもがコントロールできない。
睡魔に負けてしまった麻美は、夢の中でその続きを必死に考えていた。
そして、ふと目を開けた時には薬のおかげか熱が少し下がったようで。
くるっと寝返りをして、見慣れない久志の部屋の景色の中から時計を慌てて探し始める。
薄暗くなった部屋の中では時計があるであろう位置に視線を向けてもはっきりと見えず、麻美はベッドから足を出して立ち上がった。
まだ若干ふらつく足どりで、ゆっくりとドアノブに手を添える。
廊下を壁に手をつきながらリビングまで歩き進めると、ドアが開きっぱなしで奥が見えた。
ソファに足を組んで座り、新聞を見ている久志。
その新聞を次の紙面に折り返そうとした拍子に、麻美が立っていることに気付く。
「麻美。大丈夫か? ああ、なんか食うか?」
「急いで行って……」
「は?」
よろっと麻美がリビングに足を踏み入れる。
リビングの掛け時計を見ると、時刻は夜の8時半。
麻美は重だるい体を動かすと、久志の目の前に立ってもう一度言った。
「すぐに桃花さんのお店に行って……!」
「何言ってんだ……? 熱でおかしくなってんのか?」
「おかしくなんかなってない……っ」
血相を変えて声を張り上げる麻美を、久志は驚いた顔で見上げる。
麻美は呼吸を整えて、一度目を伏せるとそれをゆっくりと開けて、改めて久志と目を合わせた。
目を閉じてそんなことを無意識に考える。
すぐにでも眠ってしまいそうな意識の中で、麻美がぎりぎりまで気にしていること――。
(……桃花さん)
体が言うことをきいてくれないように、徐々に思考までもがコントロールできない。
睡魔に負けてしまった麻美は、夢の中でその続きを必死に考えていた。
そして、ふと目を開けた時には薬のおかげか熱が少し下がったようで。
くるっと寝返りをして、見慣れない久志の部屋の景色の中から時計を慌てて探し始める。
薄暗くなった部屋の中では時計があるであろう位置に視線を向けてもはっきりと見えず、麻美はベッドから足を出して立ち上がった。
まだ若干ふらつく足どりで、ゆっくりとドアノブに手を添える。
廊下を壁に手をつきながらリビングまで歩き進めると、ドアが開きっぱなしで奥が見えた。
ソファに足を組んで座り、新聞を見ている久志。
その新聞を次の紙面に折り返そうとした拍子に、麻美が立っていることに気付く。
「麻美。大丈夫か? ああ、なんか食うか?」
「急いで行って……」
「は?」
よろっと麻美がリビングに足を踏み入れる。
リビングの掛け時計を見ると、時刻は夜の8時半。
麻美は重だるい体を動かすと、久志の目の前に立ってもう一度言った。
「すぐに桃花さんのお店に行って……!」
「何言ってんだ……? 熱でおかしくなってんのか?」
「おかしくなんかなってない……っ」
血相を変えて声を張り上げる麻美を、久志は驚いた顔で見上げる。
麻美は呼吸を整えて、一度目を伏せるとそれをゆっくりと開けて、改めて久志と目を合わせた。