世界でいちばん、大キライ。
*
マンションを出た久志は、一度立ち止まり、空を仰いだ。
自分の気持ちをもう一度クリアにするために、深く息を吸うと、それを短く吐き出して顔を戻す。
向かう先は決まっている。
口下手な自分がうまく伝えることは困難だとは理解している。
それでもまずは、面と向かって会いに行かなければいけない、と今は強く思うから。
(会って何を言えばいいかなんて、どうでもいい。まずは会わなきゃ意味がねぇ)
キッと真っ直ぐ前を見て走り出す。
桃花の家を久志は知らない。携帯番号は知っているが、言いたい言葉が纏まっていない久志は会うことを先決していた。
唯一知っていることが、ソッジョルノの店員ということだけだ。
会えるとしたら、そこしかない。
そのたったひとつの繋がりに強く念じて、久志は他にはなにも考えずにただソッジョルノを目指した。
店が視界に入ると、柄にもなく久志は緊張する。
未だ、第一声をなんて言葉にすればいいのかさえわからない。
けれど、以前までのように迷うことはなかった。
久志はグッと店の入り口に手を掛けて、扉を開けた。
店内に足を一歩踏み入れ、レジではなく、カウンターの中を探るように視線を送る。
「いらっしゃいませ」
そう言って出てきたのは了。
声を掛けられた手前、それを無視することは出来なくて、久志はいつものコーヒーを注文した。
金銭の受け渡しをしているときに、久志は思い切って了に尋ねる。
「あの……葉月、さん、はいらっしゃいますか?」
「え? ああ、すみません。今日お休みなんですよ」
「休み……そうですか。あ、すみません、やっぱりテイクアウトで」
なるべく動揺を表に出さないように久志が言うと、了はにっこりと笑って奥へと行ってしまった。
マンションを出た久志は、一度立ち止まり、空を仰いだ。
自分の気持ちをもう一度クリアにするために、深く息を吸うと、それを短く吐き出して顔を戻す。
向かう先は決まっている。
口下手な自分がうまく伝えることは困難だとは理解している。
それでもまずは、面と向かって会いに行かなければいけない、と今は強く思うから。
(会って何を言えばいいかなんて、どうでもいい。まずは会わなきゃ意味がねぇ)
キッと真っ直ぐ前を見て走り出す。
桃花の家を久志は知らない。携帯番号は知っているが、言いたい言葉が纏まっていない久志は会うことを先決していた。
唯一知っていることが、ソッジョルノの店員ということだけだ。
会えるとしたら、そこしかない。
そのたったひとつの繋がりに強く念じて、久志は他にはなにも考えずにただソッジョルノを目指した。
店が視界に入ると、柄にもなく久志は緊張する。
未だ、第一声をなんて言葉にすればいいのかさえわからない。
けれど、以前までのように迷うことはなかった。
久志はグッと店の入り口に手を掛けて、扉を開けた。
店内に足を一歩踏み入れ、レジではなく、カウンターの中を探るように視線を送る。
「いらっしゃいませ」
そう言って出てきたのは了。
声を掛けられた手前、それを無視することは出来なくて、久志はいつものコーヒーを注文した。
金銭の受け渡しをしているときに、久志は思い切って了に尋ねる。
「あの……葉月、さん、はいらっしゃいますか?」
「え? ああ、すみません。今日お休みなんですよ」
「休み……そうですか。あ、すみません、やっぱりテイクアウトで」
なるべく動揺を表に出さないように久志が言うと、了はにっこりと笑って奥へと行ってしまった。