世界でいちばん、大キライ。
『もしかして』という淡い期待が確信に変わる。
その客は間違いなく久志だと思うと、桃花は一気に頭の中がぐちゃぐちゃになってしまう。
つい先程、この店のドアの前まで整理をつけていたはずの気持ちが、いとも容易く崩れ去る。
「なにか言ってたんですか……?!」
「いや。具体的には。ただ『葉月さんは?』と聞かれただけで……あとはいつものコーヒーを買って行ってくれただけかな」
「リョウー。エスプレッソ淹れてー」
衝撃的な話に水を差すように、ジョシュアの声が割って入る。
呆れ声で「ちょっと待ってろ」と了に諭されると、ジョシュアは年甲斐もなく口を尖らせた。
「ごめん。用件とか聞いておけばよかった?」
「あっ、い、いえ! ありがとうございます」
慌てて手を振って答えると、未だ騒ぐ胸を押さえてジョシュアの座るカウンターへとよろよろ歩き進める。
(久志さんが、私を訪ねて……でも、もう)
ぴたりと足を止めると、いつもよりも近い、カウンターチェアに座るジョシュアの目線とぶつかった。
ニコッといつものスマイルを向けられると、板挟みになるような思いに胸が締め付けられる。
自分の夢は変わらないし、ジョシュアにも、まして、了にももうすでに話はつけてしまった。
今、久志を追うことは、ふたりを振り回し裏切ることになる。
揺らいだ瞳でジョシュアと視線を交錯させていた桃花は、唇をきゅっと引き結ぶ。
そして、ガタン、ジョシュアの隣の席を引いてそこに腰を落ち着けた。
その客は間違いなく久志だと思うと、桃花は一気に頭の中がぐちゃぐちゃになってしまう。
つい先程、この店のドアの前まで整理をつけていたはずの気持ちが、いとも容易く崩れ去る。
「なにか言ってたんですか……?!」
「いや。具体的には。ただ『葉月さんは?』と聞かれただけで……あとはいつものコーヒーを買って行ってくれただけかな」
「リョウー。エスプレッソ淹れてー」
衝撃的な話に水を差すように、ジョシュアの声が割って入る。
呆れ声で「ちょっと待ってろ」と了に諭されると、ジョシュアは年甲斐もなく口を尖らせた。
「ごめん。用件とか聞いておけばよかった?」
「あっ、い、いえ! ありがとうございます」
慌てて手を振って答えると、未だ騒ぐ胸を押さえてジョシュアの座るカウンターへとよろよろ歩き進める。
(久志さんが、私を訪ねて……でも、もう)
ぴたりと足を止めると、いつもよりも近い、カウンターチェアに座るジョシュアの目線とぶつかった。
ニコッといつものスマイルを向けられると、板挟みになるような思いに胸が締め付けられる。
自分の夢は変わらないし、ジョシュアにも、まして、了にももうすでに話はつけてしまった。
今、久志を追うことは、ふたりを振り回し裏切ることになる。
揺らいだ瞳でジョシュアと視線を交錯させていた桃花は、唇をきゅっと引き結ぶ。
そして、ガタン、ジョシュアの隣の席を引いてそこに腰を落ち着けた。