世界でいちばん、大キライ。
麻美の顔を覗き込むようにして心配した桃花は、小さくコクンと頷いた麻美を見てホッと息を吐いた。

「……昨日まで熱下がらなくて。だから、金曜日にヒサ兄が間に合わなくて、本当は土曜も桃花さんのとこに行きたかったんだと思うけど、あたしの看病しててくれたから……」

眉間に皺を無意識に寄せながら、麻美の話を黙って聞く。
麻美は自分の失態の後ろめたさから桃花を真っ直ぐとは見れなくて。

それでも、面と向かって謝ろうと昨日から決めていた。
麻美はグッと顔を上げて、桃花を見上げた。

「ごめんなさい。うまくいくことしか考えてなかった……。メールのこと、直前まで知らない方がヒサ兄の場合いいと思って、それで……。あたしのせいでこんなことに」

一生懸命に一連の流れを説明し、何度も頭を下げる麻美の肩に手を置く。
眉を下げて困った顔にも似た笑顔で桃花は言った。

「どっちにしても同じ結果だったんだよ。麻美ちゃんのせいとかじゃないから。むしろそんなことまでしてくれて、こっちこそごめん」

桃花の微笑んだ顔を見て、麻美はぐっと何かを堪えるように口を結んだ。

「それと、麻美ちゃんと一緒に勉強するのもあと少ししか出来なくて……ごめんね」

申し訳なさそうに付け足した言葉に、麻美は目を見開いた。

「やっぱり……行っちゃうの?」

麻美の弱々しい質問に何も言わずに笑顔を作ると、桃花は制服のエプロンのポケットからなにかを取り出した。
不思議に思って麻美はその手の中の物を気にしていると、桃花がそっと手を開く。
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