世界でいちばん、大キライ。
「ただいま」
その場で固まっていると、廊下の向こうに見えたのは久志。
前方からの視線と人影に、久志が顔を上げると桃花同様足を止めて固まった。
「……あー、来てたんだ」
「あ、えーと、はい……あの」
ドクドクと鳴る心臓がうるさくて、桃花はまだ冷静になれずにいる。
再び歩を進め、桃花のいるリビングへと向かってくる久志は、そこまで動揺していないようだった……〝その時まで〟は。
リビングに足を踏み入れ、カバンを椅子に置くと、上着を脱ぎながら部屋を見回す。
「あれ? 麻美は? 部屋か?」
友達のところへ行くとは聞いていたが、久志が聞いていたのは、自分が帰って来てからいくのだという話だった。
その辺を、まんまと麻美にしてやられた、というわけだ。
「麻美ちゃん……お友達のところに」
「は?! え? マジで?」
素っ頓狂な声を上げたのとほぼ同時に、久志の携帯が音を上げる。
眉を寄せて着信主を確認すると、知らない番号が表示されているだけで、久志は桃花に背を向けて声を取り繕った。
「はい。曽我部です」
『あ、ヒサ兄? あたし』
「~~麻美っ!」
久志がよそ行きの声から素に変わり、さらには「麻美」と口にしたことから、桃花にも相手が麻美だということがわかる。
背中に向けられてる桃花の視線も忘れるくらいに、久志は麻美からの電話に意識を持っていかれていた。
『友達のお母さんの携帯貸してもらって電話してるんだけどねー』
「それはいーけど、なんのつもりだよ、コレは!」
『サプライズ? ほら、ヒサ兄ってここ半年ずーっと刺激ない生活してるから』
「アホかっ!」
久志の声を聞くだけで、なんだか容易に想像できそうなふたりのやりとりに桃花は思わずくすりと笑いを零す。
その声に我に返ったように久志は顔だけ振り向くと、桃花と目が合ってまた顔を逸らした。
その場で固まっていると、廊下の向こうに見えたのは久志。
前方からの視線と人影に、久志が顔を上げると桃花同様足を止めて固まった。
「……あー、来てたんだ」
「あ、えーと、はい……あの」
ドクドクと鳴る心臓がうるさくて、桃花はまだ冷静になれずにいる。
再び歩を進め、桃花のいるリビングへと向かってくる久志は、そこまで動揺していないようだった……〝その時まで〟は。
リビングに足を踏み入れ、カバンを椅子に置くと、上着を脱ぎながら部屋を見回す。
「あれ? 麻美は? 部屋か?」
友達のところへ行くとは聞いていたが、久志が聞いていたのは、自分が帰って来てからいくのだという話だった。
その辺を、まんまと麻美にしてやられた、というわけだ。
「麻美ちゃん……お友達のところに」
「は?! え? マジで?」
素っ頓狂な声を上げたのとほぼ同時に、久志の携帯が音を上げる。
眉を寄せて着信主を確認すると、知らない番号が表示されているだけで、久志は桃花に背を向けて声を取り繕った。
「はい。曽我部です」
『あ、ヒサ兄? あたし』
「~~麻美っ!」
久志がよそ行きの声から素に変わり、さらには「麻美」と口にしたことから、桃花にも相手が麻美だということがわかる。
背中に向けられてる桃花の視線も忘れるくらいに、久志は麻美からの電話に意識を持っていかれていた。
『友達のお母さんの携帯貸してもらって電話してるんだけどねー』
「それはいーけど、なんのつもりだよ、コレは!」
『サプライズ? ほら、ヒサ兄ってここ半年ずーっと刺激ない生活してるから』
「アホかっ!」
久志の声を聞くだけで、なんだか容易に想像できそうなふたりのやりとりに桃花は思わずくすりと笑いを零す。
その声に我に返ったように久志は顔だけ振り向くと、桃花と目が合ってまた顔を逸らした。