世界でいちばん、大キライ。
「びっくりしました。だって、来れるかどうか、まだはっきりわかんないって前に電話で言ってたから」
久志とは、春にシアトルに来れるかもしれないと話をしただけで、明確な内容ではなかった。
それでも、桃花は〝会えるかもしれない〟と思った時に、少しでも成長したのだと感じてほしいと考えた。
だから、まだ完全な自信までは持てなかったけれど、世界大会への出場を決めたのだ。
わかりやすく上達を誇示できるものとして。
「オレもびっくりした。……桃花があんま、大人っぽくなってるから」
ぼそりと久志らしからぬセリフをぼやくと、その恥ずかしさを誤魔化すように、空を見上げて話を逸らす。
「あー……シアトルに来れたな、オレ」
しみじみと久志が言い出すから、桃花は「ぷ」と吹き出して笑った。
「迷子にでもなりそうでしたか?」
クスクスと冗談を言って久志を見ると、ジッと見つめ返されて笑いが止まる。
何か言いたげな久志の瞳に桃花は閉口して、半年ぶりのその顔をずっと見つめる。
「迷子ね。そうだな。しばらくはそういう危険も無きにしも非ず、かな」
「しばらく? どのくらい居れるんですか?」
きょとんとして質問すると、少し間を溜めるようにしてからぽそりと薄い唇から零れ出る。
「……最低、一年」
「……は?」
ぽかんと、間抜けな顔をして、一声漏らすのが精いっぱいな桃花。
そんな桃花をちらりと見ては、またもやツイと視線を逸らして再度言う。
「短くても一年。長かったらそれ以上」
日本にいるはずと信じて疑わなかった彼が、突然目の前に現れた。
それだけでも思考が追いつかないのに、久志のわけのわからない言葉にもうパニック寸前。
「オレ、この春からシアトル支社に配属になったから」
とどめのひとことに、桃花はとうとう頭から煙を出して停止した。
ふらふらと後退り、ストン、と先刻まで腰掛けていたベンチに座る。
ボーッと一点だけを見つめる桃花の顔を、久志が驚いた顔で覗き込む。
久志とは、春にシアトルに来れるかもしれないと話をしただけで、明確な内容ではなかった。
それでも、桃花は〝会えるかもしれない〟と思った時に、少しでも成長したのだと感じてほしいと考えた。
だから、まだ完全な自信までは持てなかったけれど、世界大会への出場を決めたのだ。
わかりやすく上達を誇示できるものとして。
「オレもびっくりした。……桃花があんま、大人っぽくなってるから」
ぼそりと久志らしからぬセリフをぼやくと、その恥ずかしさを誤魔化すように、空を見上げて話を逸らす。
「あー……シアトルに来れたな、オレ」
しみじみと久志が言い出すから、桃花は「ぷ」と吹き出して笑った。
「迷子にでもなりそうでしたか?」
クスクスと冗談を言って久志を見ると、ジッと見つめ返されて笑いが止まる。
何か言いたげな久志の瞳に桃花は閉口して、半年ぶりのその顔をずっと見つめる。
「迷子ね。そうだな。しばらくはそういう危険も無きにしも非ず、かな」
「しばらく? どのくらい居れるんですか?」
きょとんとして質問すると、少し間を溜めるようにしてからぽそりと薄い唇から零れ出る。
「……最低、一年」
「……は?」
ぽかんと、間抜けな顔をして、一声漏らすのが精いっぱいな桃花。
そんな桃花をちらりと見ては、またもやツイと視線を逸らして再度言う。
「短くても一年。長かったらそれ以上」
日本にいるはずと信じて疑わなかった彼が、突然目の前に現れた。
それだけでも思考が追いつかないのに、久志のわけのわからない言葉にもうパニック寸前。
「オレ、この春からシアトル支社に配属になったから」
とどめのひとことに、桃花はとうとう頭から煙を出して停止した。
ふらふらと後退り、ストン、と先刻まで腰掛けていたベンチに座る。
ボーッと一点だけを見つめる桃花の顔を、久志が驚いた顔で覗き込む。