世界でいちばん、大キライ。
「……だから。一回聞いたら覚えろよ。俺のだ、っつってんだろ」
その声にぱちりと目を開ける。
信じられない思いでいたが、清水の肩にゴツゴツとした手をぽんと置いて立つのは紛れもなく……。
「ひ……さし、さん」
まさかこんなことがあるはずない、と瞬きを数回するものの、やはり瞳に映し出されるのは本物の久志。
「なっ……んだよ。嘘だろ、それ。この子、デキてないっつってたし!」
今回は負けずに反論した清水だが、身長差のある久志に睨みをきかされると逃げ腰だ。
鋭い目で清水を見下ろし、グッと肩に置いた手に力を込める。
「悪いな。ちょっと痴話ゲンカってやつだ」
そして、やたらと柔らかに答えるその声がまた恐ろしさを助長させ、清水は耐えきれなくなってその場を走り去る。
その後ろ姿を見て、「フン」と鼻であしらうと、くるりと桃花に向きなおした。
キッと厳しい目を向けられると、桃花は叱られた子犬のように小さくなってしまう。
「……す、すみません……」
申し訳ない。自分で自分も守れなくて不甲斐ない。
そんな自己嫌悪に陥って、両肘を自身で抱きしめるように抱えると肩を竦めた。
消え入るような声で謝罪すると、トン!と頭の横に大きな手が伸びてくる。
そのまま塀に手をつけられ、びっくりして顔を上げると、安堵した様子で顔を歪めた久志が項垂れるようにした。
「……あー。マジ、一生後悔するとこだった」
目前にある久志のつむじを見つめながら、今言われた言葉を反芻する。
その頭は、両手を伸ばせばすぐに包みこめる。けれど、それをする勇気があるわけもなく。
触れたいのに触れちゃいけない、そんな葛藤と、二度も助けてくれたことに胸を締め付けられる。
「あの……ありがとう、ございます……」
しかも、しっかりと耳に残っている言葉。
『俺のだ』
二回もそう言われて、胸が跳ねあがらないわけがない。
(わかってる。上手く追い払うための嘘だ、ってわかってるけど……)
その声にぱちりと目を開ける。
信じられない思いでいたが、清水の肩にゴツゴツとした手をぽんと置いて立つのは紛れもなく……。
「ひ……さし、さん」
まさかこんなことがあるはずない、と瞬きを数回するものの、やはり瞳に映し出されるのは本物の久志。
「なっ……んだよ。嘘だろ、それ。この子、デキてないっつってたし!」
今回は負けずに反論した清水だが、身長差のある久志に睨みをきかされると逃げ腰だ。
鋭い目で清水を見下ろし、グッと肩に置いた手に力を込める。
「悪いな。ちょっと痴話ゲンカってやつだ」
そして、やたらと柔らかに答えるその声がまた恐ろしさを助長させ、清水は耐えきれなくなってその場を走り去る。
その後ろ姿を見て、「フン」と鼻であしらうと、くるりと桃花に向きなおした。
キッと厳しい目を向けられると、桃花は叱られた子犬のように小さくなってしまう。
「……す、すみません……」
申し訳ない。自分で自分も守れなくて不甲斐ない。
そんな自己嫌悪に陥って、両肘を自身で抱きしめるように抱えると肩を竦めた。
消え入るような声で謝罪すると、トン!と頭の横に大きな手が伸びてくる。
そのまま塀に手をつけられ、びっくりして顔を上げると、安堵した様子で顔を歪めた久志が項垂れるようにした。
「……あー。マジ、一生後悔するとこだった」
目前にある久志のつむじを見つめながら、今言われた言葉を反芻する。
その頭は、両手を伸ばせばすぐに包みこめる。けれど、それをする勇気があるわけもなく。
触れたいのに触れちゃいけない、そんな葛藤と、二度も助けてくれたことに胸を締め付けられる。
「あの……ありがとう、ございます……」
しかも、しっかりと耳に残っている言葉。
『俺のだ』
二回もそう言われて、胸が跳ねあがらないわけがない。
(わかってる。上手く追い払うための嘘だ、ってわかってるけど……)