世界でいちばん、大キライ。
「情けねぇよな。たかだか一年間だってーのに。こんなふうに感じてるなんて」
お酒の力だとしても、その言葉は久志の本心であることには間違いない。
そう桃花は感じ取ると、そのまま放っておくことも、適当な相槌を返すことも出来ない。
きっと、実の親子でなくとも、同じように今まで接してきて、真剣に考えて向き合ってきた故の気持ちのはず。
出会ったときから、久志は麻美に対してそんな小さな悩みを抱えていた。
桃花は静かに開口し、久志に温かな眼差しを向ける。
「……不器用ですね。麻美ちゃんにばかり集中しすぎなんですよ、きっと」
「中途半端は嫌なんだよ」
「……それはわかりますけど」
普段の久志からは想像できないような、まるで子どものような拗ね口調。
それにはさすがに笑みが零れ、桃花は擁護するように肯定する。
すると、久志が「ははっ」と自嘲するように笑って、左手で髪をくしゃりと握った。
「いつの間にか、オレが麻美に依存してんのかぁ? ダセェなぁ……」
項垂れてぼやく久志に、さらに一歩、歩み寄る。
「……大丈夫ですか?」
身体を少し屈めるように、俯く久志の顔を覗く。
しかし一向に動く気配もなく、あれだけ饒舌に言葉を紡いでいたのが嘘のようにぴたりと話も止まってしまった。
再び訪れた静寂な空気。
桃花はただ、そのまま久志の出方を待つほかない。
さらになにを口にすればいいものか、と桃花が考えあぐねていた、そのとき――。
「大丈夫じゃねぇ」
そう言った久志の声は、正面からではなく、もっと近くから聞こえてくる。
「……ひ、さしさ……」
お酒の力だとしても、その言葉は久志の本心であることには間違いない。
そう桃花は感じ取ると、そのまま放っておくことも、適当な相槌を返すことも出来ない。
きっと、実の親子でなくとも、同じように今まで接してきて、真剣に考えて向き合ってきた故の気持ちのはず。
出会ったときから、久志は麻美に対してそんな小さな悩みを抱えていた。
桃花は静かに開口し、久志に温かな眼差しを向ける。
「……不器用ですね。麻美ちゃんにばかり集中しすぎなんですよ、きっと」
「中途半端は嫌なんだよ」
「……それはわかりますけど」
普段の久志からは想像できないような、まるで子どものような拗ね口調。
それにはさすがに笑みが零れ、桃花は擁護するように肯定する。
すると、久志が「ははっ」と自嘲するように笑って、左手で髪をくしゃりと握った。
「いつの間にか、オレが麻美に依存してんのかぁ? ダセェなぁ……」
項垂れてぼやく久志に、さらに一歩、歩み寄る。
「……大丈夫ですか?」
身体を少し屈めるように、俯く久志の顔を覗く。
しかし一向に動く気配もなく、あれだけ饒舌に言葉を紡いでいたのが嘘のようにぴたりと話も止まってしまった。
再び訪れた静寂な空気。
桃花はただ、そのまま久志の出方を待つほかない。
さらになにを口にすればいいものか、と桃花が考えあぐねていた、そのとき――。
「大丈夫じゃねぇ」
そう言った久志の声は、正面からではなく、もっと近くから聞こえてくる。
「……ひ、さしさ……」