世界でいちばん、大キライ。
*
爆睡していた久志の耳に遠く物音が入り込む。
ガチャ、とドアの開閉音と、パタパタとした足音。
徐々に意識を戻しているところに、コンコンとノックの音が飛び込んだ。
(あー……頭いてぇ)
ズキズキとする頭痛に顔を顰めているだけで、返事がしたくてもまだ声が出せない。
痺れを切らしたのか、ノックした相手がそっとドアノブを回す。
「ヒサ兄……うわっ!」
靴はあるのに応答がない。今はもう昼も過ぎているというのに。
そんな思いからそっと隙間から覗き込んだのは麻美だ。
カーテンは開いている……いや、昨夜はきっとそのまま閉めることなく寝たんだろう、と麻美は思いながら、ちらりと部屋の様子を窺う。
寝相が悪いのはいつものこと。乱れたベッドに、脱ぎ捨ててあるスーツと下着。
「お酒くさいっ! ヒサ兄。酔ったら脱ぐクセ、どうにかしなよ」
「……悪ィ」
小言を口にした麻美は、近くのデスクの上にあるグラスを見て引っ掛かった。
普段から、パソコン機器などが置いてあるそのデスクに食べ物や飲み物を持ち込むことはしないはず。そのあたりが細かい性格の出ている久志。
それなのに、酔っていたとはいえ、そんなことをするのか?と首を捻る。
もっと言えば、キッチンで水を汲んだ時点で、その場で飲み干せば済む話。
こめかみを抑えて起き上がる久志は、どうやらまだ思考がはっきりとしない様子。
ベッドから長い足を投げ出すようにして下着を拾い上げようとすると、足裏に異物の感覚が走って声を漏らした。
「いて……。ん?」
久志の大きな足の裏に跡を残したのは、小振りなクマのキーホルダー。
鈴のような形でクマの顔だけのそれを手のひらに転がして、久志は目を細め、頭痛に顔を歪める。
爆睡していた久志の耳に遠く物音が入り込む。
ガチャ、とドアの開閉音と、パタパタとした足音。
徐々に意識を戻しているところに、コンコンとノックの音が飛び込んだ。
(あー……頭いてぇ)
ズキズキとする頭痛に顔を顰めているだけで、返事がしたくてもまだ声が出せない。
痺れを切らしたのか、ノックした相手がそっとドアノブを回す。
「ヒサ兄……うわっ!」
靴はあるのに応答がない。今はもう昼も過ぎているというのに。
そんな思いからそっと隙間から覗き込んだのは麻美だ。
カーテンは開いている……いや、昨夜はきっとそのまま閉めることなく寝たんだろう、と麻美は思いながら、ちらりと部屋の様子を窺う。
寝相が悪いのはいつものこと。乱れたベッドに、脱ぎ捨ててあるスーツと下着。
「お酒くさいっ! ヒサ兄。酔ったら脱ぐクセ、どうにかしなよ」
「……悪ィ」
小言を口にした麻美は、近くのデスクの上にあるグラスを見て引っ掛かった。
普段から、パソコン機器などが置いてあるそのデスクに食べ物や飲み物を持ち込むことはしないはず。そのあたりが細かい性格の出ている久志。
それなのに、酔っていたとはいえ、そんなことをするのか?と首を捻る。
もっと言えば、キッチンで水を汲んだ時点で、その場で飲み干せば済む話。
こめかみを抑えて起き上がる久志は、どうやらまだ思考がはっきりとしない様子。
ベッドから長い足を投げ出すようにして下着を拾い上げようとすると、足裏に異物の感覚が走って声を漏らした。
「いて……。ん?」
久志の大きな足の裏に跡を残したのは、小振りなクマのキーホルダー。
鈴のような形でクマの顔だけのそれを手のひらに転がして、久志は目を細め、頭痛に顔を歪める。