世界でいちばん、大キライ。
「っは。何なにを突然言い出すかと思えば……」
鼻で笑うように言ったあとに、ふと、食卓テーブルでパンを頬張る麻美の横顔を見る。
「携帯、見たのか」
「……見えたの。でも中身までは見てないって」
「ガキのクセに、余計な詮索するなよ」
「ヒサ兄のほうが、よっぽどガキっぽいと思うけど」
対面キッチン越しにする会話。
淡々とした言葉のキャッチボールは、ケンカまでには及ばないが、笑い合うようなこともない。
それももう慣れた久志は呆れ顔だ。
「減らず口は姉貴譲りだな」
「ヒサ兄が言いたいこと言わなさすぎだよ。機械とばっか向き合ってるからじゃないっ」
「へーへー。ご忠告どうも」
対して、麻美もまた、こんなやりとりに慣れてはいる。
だが、いつでも言ってる傍から後悔だけが胸に残る。
もっと言いたいことは別にあって、素直になればいいのに。
素直に、姪としてでもいいから甘えたらいいのに。
そんなことをいつでも思っていながら、つい裏腹な行動を取ってしまう自分に苛々としてしまう。
今日もまた、そんな後悔をしながら、自室に戻る久志の背中をこっそりと見送っていた。