世界でいちばん、大キライ。
「あっ、そ、そういう関係(コト)なんですね。すみません。変な誤解して。じゃ、じゃあ、わたしはこれで。ごちそうさまでした」

水野は、桃花とジョシュアの親密そうな姿に頬を薄らと赤く染めて、いそいそと店を出て行く。
ドアチャイムの音が落ち着いても、ジョシュアの手は桃花の肩に乗せられたままだ。

その事実に動揺し続ける桃花は、肩を竦めながら耳まで赤くして訴える。

「あ、の。その、手、を……」
「モモカ。オレはどうやらキミに惚れてしまったみたいだ」

驚くような言葉に、桃花は思わず顔を上げた。
少し長い金髪の隙間から覗かせる瞳は、やっぱり見慣れない色の綺麗な瞳。
その瞳は、見れば見るほど、惑わされる。

吸い込まれるように、ジョシュアの目から視線を逸らせないでいると、ニコリと微笑まれた。

「オレとシアトルに行かないか?」
(い、今、この人なんて……?)

目を大きくしたまま至近距離に立つジョシュアをぽかんとして見上げる。

「さっきの一杯で決めた。一緒にシアトル連れて帰る」

ニコッと弓なりに上げた口を視界に入れて、桃花は目を瞬かせた。

(聞き間違えじゃなかった……ほ、本気なの?!)
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