薫子さんと主任の恋愛事情
「鞄か。いいじゃないか。これ、おまえが選んだの?」
「はい。実は昨日あのショッピングモールには、大登さんのプレゼントを探しに行っていて。素敵なお店で一目惚れして、大登さんに似合いそうだなぁと……うぐっ」
最後の「うぐっ」は、いきなり大登さんに抱きしめられて、私の口から発せられて呻き声。
息が苦しくなるほど抱きしめられていて、身動きひとつできない。
「薫子、可愛すぎるだろ。一目惚れしたとか俺に似合いそうだとか、俺をおまえの虜にするプロじゃないのか?」
そう言いながら、私の身体をブンブン揺する。
「そ、そんなプロ聞いたことありません。っていうか、そろそろ離して下さい。私、死んじゃいますよ?」
死んじゃうは大袈裟だけど、苦しいのはホント。大登さんに抱きしめてもらうのは嬉しいけれど、手加減というものを覚えてほしい。
「それは困るけど、薫子は離したくないな」
わずかに腕の戒めが解かれると、大登さんはひとりで何かを考え出す。それでも離してもらえない私は、仕方なく大登さんの腕の中で待つことにした。
しばらくして大登さんは、何かを決心したようにひとつ頷くと、私をベッドに寝転ばして真上から見下ろした。