これが私の王子様

「夢といえば、水沢さんは?」

「私は、特には……」

「水沢さんって、料理が上手いから調理師とかいいんじゃないかな? あとは、栄養士とか」

「似合い……ますか?」

「控え目で優しいから、老人ホームで働くっていうのもいいかもしれない。その時は、老人ホーム造るよ」

「造る?」

「老人介護は、問題だからね。ホームを造れば、喜ぶ人が多い――と、以前父さんが言っていた」

 スケールの大きさに、ゆかは唖然となってしまう。

 だが、相手はお金持ちなので、それができないわけではない。

 いや、それ以上に「自分の為に――」という部分で、恐縮してしまう。

「結城君の夢って、ありますか?」

 ゆかからの逆質問に、和人は遠くを見据える。

 夢という夢は持っておらず、将来父親の跡を継ぐのが決定づけられている。

 そのような状況で夢と語るのなら、素晴らしい伴侶を娶ること。
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