LB4
「大悟、さっきから何なの? フルチンで雰囲気出されてもキモいよマジで」
「キモいとか言うなよマジで」
「だってキモいもん。するならするで、いつも通りにしようよ」
ふーん。
いつも通りに、ね。
「いつもの感じなら、したい?」
俺の問いに、千佳はやられた、という顔をした。
俺は余裕たっぷりに微笑んで、彼女の前髪をかき上げる。
狭い額から耳の後ろを通して首筋を撫でると、猫のように目を細めて甘んじる。
「したい」
と告げた声は恥じらいで掠れ、顔は少しだけ紅に染まる。
「よくできました」
近いうちに、誘導なしでも俺を求めるようにしてみせる。
決意を込めてキスをすると、千佳の方から舌を絡ませてきた。
甘くて香ばしいキャラメルプリンの味がする。
「なー、千佳」
「ん?」
「俺ら、長続きする気がする」
「まさか。私の中では、あんたの浮気が発覚して、わりとすぐ別れる予定になってるけど」
それを否定できない自分が悲しい。
俺は女遊びをやめられるのだろうか。
今は他に手を伸ばそうという気がないが、今後もその気を起こさないとは限らない。
だから。
「俺が浮気しないようにコントロールしてよ」
千佳は呆れた顔をして、手に持っているうちのひとつをミシン目で切り離し、開封した。
「じゃあとりあえず、今夜だけで一箱使ってみる? 中身空っぽならやる気も起きなくなるかもよ」
「……悪くないね。一箱分できるかどうかは別だけど」