LB4

そうハッキリ言うと、田中は苦い顔をした。

そんな顔をされたって、あたしが好きなのは田中じゃない。

何も悪いことは言っていない。

そういう気持ちを込めて田中を睨むが、田中はふと優しい笑顔になった。

そしていつもの下品な声ではなく、穏やかで優しい声で言った。

「俺は、好きだよ」

ドクンーー……

鼓動が強くなりすぎて、心臓が壊れたかと思った。

同時にぎゅうっと胸が痛くなった。

続いてドッドッドッドッドッ……とバカみたいに速いリズムを刻む。

この音、身体の外に漏れていないだろうか。

「え?」

「だから、好きだよ。えみのこと」

告白なんて、初めてされた。

あたし今、大悟くんにブラのホック外されたときよりずっとずっとドキドキしてる。

脈が強すぎて、シャーペンを持つ右手の人差し指や教科書に触れている左手の掌までかすかにピクピク震えている。

「な、何言ってんの?」

こいつのことだから、冗談かもしれない。

まともに返したら『うっそーん。なーにマジになってんのギャハハハハー』とか言われる気がする。

でも、そうじゃない気もするから怖い。

「何って、普通に告白。失恋したんだろ? ちょうどいいタイミングだって思って」

普通に告白って、意味わかんない。

照れや緊張が先立つ私は、つい悪口で返してしまう。

「弱味につけこむ卑怯者」

なんて、彼女がいる大悟くんを身体でモノにしようとしたあたしが言えたことではないのに。

自分の放った辛辣な言葉に自分がたじろいだが、田中は全く動じなかった。

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