LB4
「卑怯なくらいじゃないと、恋愛なんてできねーもん。真っ当にやるとズルいヤツに負ける」
それは、田中の言う通りだと思う。
真っ当にやったって大悟くんは手に入らないとわかっていたから、あたしは処女を押し付けた。
結果的に失敗だったけれど、あたしは自分の幸せのために必死だったし、彼とエッチすることを彼の彼女に悪いなとは微塵も思わなかった。
恋愛はきっと、人を汚い生き物にしてしまう。
薄々勘づいてはいた、けど。
周りの子たちのドロドロした恋バナを聞いたって、親が離婚してたって、ママが若い男と身体だけの恋愛を楽しむようなビッチだったって。
あたしの恋愛はキラキラしてて美しいものだと信じていたかった。
ものすごくあたしを好いてくれる超絶カッコイイ男の人が、他の女なんかには脇目も振らずに自分だけを愛してくれるのだと。
全て彼のリードで順調に関係が進んでいって、あたしはただただ愛されて笑っていれば良いのだと。
欲や見栄やしがらみの多い恋愛に苦戦している友人たちの様子を見てもなお、自分だけは夢のような恋愛をするのだと思っていたかった。
だからうまくリードしてくれそうな大人の男に惹かれるのかもしれない。
田中は変わらず夕日で光る右腕を支えに頬杖をついた体勢だ。
色の濃い瞳がまっすぐにあたしをみつめている。
「失恋したばっかのあたしなら、チョロいとでも思ったの?」
「まさか。別に今すぐ付き合えるなんて思ってないし。これからじっくり頑張る」
「頑張らなくていい。これ以上ウザいの迷惑」
「言ってろ。恋愛と理数教科に関しては俺の方がよっぽどお前より上級者なんだからな」