LB4

悪口を言ったのに嬉しそうに笑う藤川。

超絶かどうかは知らないけど、いい先生だってことは、あたしにだってちゃんとわかっている。

だから2年の頃から、放課後の教室で、何度も話を聞いてもらってきた。

数学の担当が藤川でなければ3年には上がれていなかったと思うし、コンプレックスの多いあたしが恭子や織恵と上手くやれているのも、彼のアドバイスがあったからだと思う。

出来の悪い生徒なりに、感謝はしているのだ。

「ねー先生。あの時の彼女さー、どうやってゲットしたの?」

「えっ……は?」

唐突な質問に渋い顔をしたけれど、あたしは構わず彼の顔を見つめる。

「どっちから告ったの? 先生? 彼女?」

消えかけている記憶を掘り返す。

春休み、プロジェクションマッピングのイベント。

あたしは中学時代からの友達と3人で見に行った。

イベント開始前、女連れの大悟くんと遭遇。

イベント終了後、女連れの藤川と遭遇。

ふたりが連れていた女はどちらも、高そうなロングブーツを履いていて、ゆるふわの長い髪で、キレイな顔をしていた。

そして藤川の彼女にいたっては、あたしが生徒だとわかると、にっこり微笑みかけてくれて、

「もう暗いから、気をつけて帰ってね」

と優しく言ってくれた。

口の悪いこのボンクラ教師にはもったいないほど出来た彼女だった。

< 136 / 180 >

この作品をシェア

pagetop