LB4

教室に戻ると、やっぱり田中はいなかった。

「あ、いない」

そう思って初めて、彼一人が教室に残っていることを期待していたことに気付く。

告白されてドキドキして、冷たくされてイライラして。

それでも田中はあたしのことを好きだと言ったんだから、あたしとの特別な時間を設けたくなって、絶好のチャンスである放課後を利用するのではないか。

今日一日素っ気なくした分、そこで甘い言葉をかけてくれるかもしれない。

だってあいつ、頑張るって言ったし。

と、妄想していた。

しかし、妄想してしまったということは、その状況に少なからず憧れを抱いているということになる。

それに気付いて、愕然とした。

昨日の今頃まで天敵だと思っていた田中が、たった24時間でそういう対象になってしまった。

『いーじゃん。俺たちそのうち付き合うし』

バカじゃないの、あんた。

付き合うって、意味わかって言ってんの?

付き合ったらあたしたち、手を繋いでデートしたり、抱き合ったり、キスしたりするんだよ?

それ以上のことだって、するかもしれないんだよ。

あんた、あたしと毎日ケンカしながら、そういうことしたいって思ってたの?

あたしはそんなこと、考えたこともなかった。



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