LB4

指摘されて、ドキッとした。

教室には約40人の生徒がいるのに、ちゃんと一人一人の様子がわかっているのだと、ちょっと感動さえする。

超絶いい先生というのも、あながち間違っていないのかもしれない。

「別に、なんでもない」

「嘘つけ。顔にモロに出てたぞ。あと田中もおかしかったな。何かあったか?」

なんだ、こいつはエスパーか?

人の心が読めるのか?

「だから、何もないってば」

藤川はあたしの言葉など無視して続ける。

「とうとう告白でもされたか?」

もう、ほんと何なの?

教師って、そういうのまでわかっちゃうの?

あたしは口をつぐみ、藤川を睨みつける。

それが肯定の意になることはわかっていた。

否定したってこいつにはわかってしまうのだから意味がない。

「まあ、時期的にそろそろかなーとは思ってたけど」

言いながらノートを閉じ、手渡してきた。

あたしはそれを受け取り、ため息をつく。

「そういうの観察するの、ほんとキモい」

「……じゃあもっとわからないようにやれよ」

「ウザい。うるさい」

しょうがないじゃん。

隠し方なんて知らないもん。

「ま、せいぜい悩め。ただ数学はサボるなよ。卒業できなかったら笑えないからな」

「わかってますー」

これ以上藤川と一緒にいたら、もっと自分の内面を掘り返されてしまいそう。

あたしはそれが怖くなって、拗ねたフリをしてこの場を去った。

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