LB4
「することしても、自分からはグイグイ行かないんですね」
「うん」
「板東さんって、ほんと危ない橋は渡らないタイプですよねー」
良く言えば慎重。
悪く言えばヘタレ。
「そうだね」
「だから一緒にいて安心できるんですけど」
千佳のようにこう言ってくれる人もいるが、
「てめぇそれでもキンタマついてんのかよ!」
と胸ぐらを掴まれたこともあったわけで。
「臆病なだけだって」
これもゆとりの教育の産物なのか、俺の潜在的な性格なのか。
草食系男子という言葉が流行ってくれたおかげで白い目で見られずにやってきたけれど、実はとてもカッコ悪い性格をしているのかもしれないと思うようになった。
「でも、板東さんの選択って、何だかんだでいつも正しかったじゃないですか」
彼女は学生時代のサークルでのことを言っているのだろうが、それらは事前に調べ尽くし何度もシミュレーションして決断してきたからだ。
「今回に関しては、正しかったとは思えないけどね」
昨夜はただ欲を抑えきれなくなっただけで、何の計画性もなかった。
そもそも彼女の部屋に招かれるなんて思ってもみなかったのだ。
ましてや体を重ねるなんて。
当然コンドームさえ用意していなかった。
いっそのこと俺との間に子供ができたら彼女を手に入れられるのではないか……と、腰を振りながら卑劣なことを考えたりもした。
今さら思うけど、最低だった……かも。
俺は誠心誠意彼女に尽くしたつもりだったが、実は彼女に酷いことをしてしまったのだろうか。
なんだか不安になってきた。
浮かれていた気持ちがどんどん落ちてゆく。