LB4
女のことでブルーになってゆく俺に苛立ちを募らせたのか、千佳は少し強い口調で尋ねる。
「ていうか、板東さんはその人とどうなりたいんですか?」
昼間、相澤さんにも同じ質問をされた。
俺がどうしたいかなんて聞いたところで、どうなるというのか。
すべては相澤さん次第なのに。
「そりゃあ……できれば付き合いたいよ」
恋人同士になって、堂々と愛したい。
独り占めしたい。
好きなんだから、当たり前だ。
「その意思はちゃんと伝えたんですか?」
「……好きだとは言ったけど」
「つまり、付き合ってくださいとは言わなかったんですね?」
「うん」
だって、恋人がいるのに他の人に言い寄られるのって、とても迷惑だろう?
ましてや俺と相澤さんはセックスしたのだ。
昨夜に3回。
今朝も2回。
ろくな避妊もせずに、ただ欲に任せて。
彼女にとって俺とのことは、絶対に隠さなければならない機密情報であるはずだ。
やましいことがあるだけに、しつこく迫ったりすると迷惑さは倍増する。
相澤さんに迷惑をかけて嫌われる勇気はない。
都合のいい男でいる方が何倍もましだ。
だから彼女がフリーになるまで、付き合ってほしいとは言わないと決めていた。
千佳は質問を続ける。
「じゃあ、どうして彼氏がいるのに板東さんを受け入れたのか、聞きました?」
「いや、聞いてない」
何となくそんな気分になったから。
欲求不満だったから。
なんでもいい。
理由なんて必要ない。
俺を受け入れてくれた事実だけで、俺は満足だ。
しかし千佳は、俺の答えにますます不満な顔をした。