LB4
とある朝。
左半身の違和感に気付き、目が覚めた。
圧迫感から逃れようと身を捩ると、余計に締め付けられる。
肩に温かな風を感じ、やっと目が開く。
愛しい人のまつ毛が、カーテンの隙間から漏れた光を反射して光っている。
その光景を、素直に美しいと思った。
こんな幸せな朝がずっと続けばいい。
俺はいわゆる、ゆとり世代の申し子だ。
大学を卒業するまで何不自由なく、ゆとられにゆとられて生きてきた。
そんな俺に、初めて厳しくしてくれた人。
社会の荒波を渡り歩けるよう、育ててくれた人。
彼女の年代は「プレッシャー世代」と呼ばれ、甘ったれたゆとり世代の教育やフォローに多くの労力を割いているという。
「チッ、これだからゆとり世代は……」
10代の頃から大人にそう言われすぎて、もう何とも思わなくなっていた。
むしろ「そうそう、俺たちゆとり世代だから」と胡座をかいている部分さえあった。
だから無知でも仕方ないでしょう?
文句言わないでくださいよ。
僕たちをこんなふうに育ててきたのは、あなたたちではないですか。
こっちだって、これでも懸命にやってます。
……と。
他の年代の人たちよりも弱いことに、なんの疑問も抱かなかったし不満はなかった。
……だけど。
彼女を大切にしたい。
でも今の自分では、彼女を守れない。
高慢な己の思想を知り、無防備な己の危うさに気付き、そして今、己の弱さを初めて恥じる。