LB4
夏の終わり頃のこと。
「板東さん、例の先輩が彼女になってメロメロだからハゲたって言っとけってさ」
2年に及ぶ板東さんの片想いが、とうとう実ってしまった。
「ああ、やっぱり」
「なんだ、知ってたのか」
「知ってたっていうか、そうなるだろうなって思ってた」
「ハゲそうだって?」
「そっちじゃないし、まだハゲてないし」
相手は会社の先輩で、年はアラサーで、板東さんの話を聞いている限りでは、元ヤンか何かですごく怖い女の人。
そんな意地悪オバサンより私の方が絶対に可愛いのにって、ずっと思っていた。
だけどそのオバサンは、受け身の恋愛ばかりしていた彼が自らがっついてしまうほど魅力的であるらしい。
台風の翌日に会ったときだって、とびきりキラキラした笑顔で
「実はさぁ、昨日シたんだよね」
と嬉しそうに語っていた。
幸せそうな彼にムカついて意地悪なことを言ってしまい、反省していたところだ。
でもそうか、実ったのか。
よかったじゃん。
彼に惚れている身としては複雑な心境だけど、元々脈はなかったし、後輩として祝福する気持ちがないわけではない。
だけど。
4年も思い続けて、本当に何もなかったな。
全く報われなかった。
ここまで惨敗すると、もう彼が別れるのを待とうとすら思わない。