LB4




学生の頃は社会人に強く憧れたものだが、実際になってみると、いかにその憧れが妄想だったかを思い知らされる。

会社に入ると、関わる人のほとんどがオジサンかオバサンで、オジサンは私が若いというだけでいやらしい目で見るし、オバサンは私が若いというだけで僻んだものの言い方をする。

新人なのに難しいこともやらされるし、残業も当たり前で定時を過ぎても帰れず、少しでもミスがあると甘いやらナメてるやらと私の人格を否定される。

こんなの、いじめじゃん。

全然楽しくないし、辞めてしまいたい。

何より嫌なのは、私の教育係である早川(はやかわ)先輩の性格の悪さだ。

教育係なのに、彼女はろくに仕事を教えてくれない。

「すみません、この書類の処理なんですけど」

「それなら、この間も私が説明したでしょ。そろそろ覚えてほしいんたけど」

「教えてもらった通りにやってもシステムがエラー表示出すんです」

「どうしてエラーになるのか、表示されるでしょ? 読んだの?」

「……いいえ。表示されてる英語がわかんないんで、聞いた方が早いと思いました」

早川先輩はすごく嫌な顔で、ため息をついた。

そういえばこの人、板東さんの彼女と同い年だっけ。

アイメイクは手薄だしファンデに透けてシミが見えてるし、唇だってリップが落ちてくるとシワシワだ。

醜い。

私がアラサーになっても、こんな意地悪オバサンにはなりたくない。

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