T&Y in神戸

由香利はホームに降り立つと、う~んと大きく延びをした。
「疲れてーーはないか。」
ニコニコと振り返る由香利は、まだまだ元気だ。
「平気だよ。たあちゃんは?疲れた?」
思わず苦笑する。



駅に隣接されたホテル。
「迷わなくてよかったね。」
由香利はそのホテルを見上げた。
人工の灯りに照らされた街は九時を過ぎても充分明るく、星も見えない。



連絡通路を渡りホテルのロビーへ。
その間、由香利は物珍しさにキョロキョロと辺りを見渡す。
ウィンドウに並ぶ服や宝石を見て、慌てて俺の服を掴んだ。
「ん?どうした?買って欲しいのか?」
顔を見れば、そうでないことぐらい分かることを意地悪く問いかければ。
「ゼ、ゼロが多いよっ!」
由香利は目を丸くして、青ざめた。
小指にはまったピンキーリングを指で撫でながら、俺を見上げるーーー同じブランドのその指輪。
そうか。
「それはそんなに、しない。」
石もついていないし見れば分かるだろ、と頭を撫でると由香利はホッと胸を撫で下ろす。

「指輪は、はめる指で値段が変わるものだろ?」
「え?」
意味深に由香利の左手を手にした。

「この指にはめるのは、給料3ヶ月分が相場だそうだ。」
「え!?」

薬指を一撫でして、由香利の顔も見ずに手を握ったまま歩き出した。

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