T&Y in神戸
「お金なんか、関係ないけど、」
由香利の小さな声は今にも泣きそうで、立ち止まって振り替えれば。
「たあちゃんの、重荷になりたくないのに……」
「重荷?」
「だって……」
そう、小指のリングに目をやる由香利。
「惚れてる女に指輪を送るのが、重荷だと思うのか?」
「ほ、惚れーー」
キャリーバックを手放し、真っ赤になった由香利の頬を指の背で撫でる。
「指輪ひとつでお前の気持ちを縛れるんなら、安いもんだよ。」
肝心な事はなかなか伝わらない。
「たあちゃん…」
「重荷とか負担とかじゃないーーー悪いと思われるより、ありがとうの方がいい。」
「ありが……とう…」
俯いた由香利が繋いでいた手をぎゅっと握り返してきた。
「どうし、」
「ほ、他の人にあげちゃ駄目だから、ね。」
消え入りそうな声で、それでも真っ直ぐに俺を見つめる黒目がちな瞳。
赤く熱を帯びた頬とのギャップが俺を煽る。
………由香利の告白に、ここが、ふたりきりの部屋で無いことに理性を総動員する。
「当然だろ。」
平静を装って言って見せても、繋いだ手は汗だくだ。
何も気づかない由香利が、自分のセリフに照れて俯いた。