T&Y in神戸
着替えるからと、洗面所から追い出されるように背を押される。
「たあちゃんの服はバッグの中だから!」
はいはいと大人しく部屋を出ると、「危なかった…」とドア越しに聞こえる安堵の声。
「……。」
求めても求めてもまだ足りないと思う俺とは違う、冷めた言葉に胸が重くなる。
複雑な気持ちを抱えたまま着替えを済ますと、時間をおいて由香利が部屋から顔を出した。
「……。」
ロング丈のスカートに歩きやすそうなスニーカー。
カットソーにカーディガン。
それと。
「化粧…してるのか?」
「へ、変!?」
しどろもどろになりながら、「ま、ママに外でデートするんだから化粧ぐらいちゃんとしなさいって……」と説明(いいわけ?)をする。
「……。」
黒目勝ちな瞳を彩る綺麗なラインーーー増す目力。
吸い込まれそうな感覚に言葉を飲んだ。
「やっぱり、変だねっ、落として、」
くる、と踵を返す由香利の腕をつかんで引き寄せた。
「変じゃ、ない。」
舞子さんのしたり顔が脳裏を掠める。
ーーーまいったな。