愛なんてない



「咲子、警察に行くぞ!」


いきり立ったまま、圭介は怒鳴るように言って歩き出した。


だが――。




「いい加減にしてくださいっ!!」


病院の待合室いっぱいに悲鳴に近い悲痛な叫びが響き渡った。


誰もが意識を削がれて見遣ると、そこに立っていたのは弥生の親友である麻美。


細い肩を震わせながら、ぼろぼろと大粒の涙を流してた。


弥生と違い強気でめったに表情を崩さない麻美が泣いた。それだけでもかなり心を揺さぶられたが、彼女が口にした言葉が更に動揺を誘う。



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