愛なんてない



そこで静かに口を開いたのは。


他でもない圭介の妻であるはずの咲子だった。


「……圭介が弥生ちゃんを脅していたのです。相良先生との事を警察に訴えられたくなければ……と」


「咲子!」


圭介が妻の肩を掴み揺さぶるが、咲子はもはや夫に軽蔑と憎悪の眼差ししか向けない。


「……私が何も感じない、空っぽな人形とでも思っていたの圭介?
私を都合のいい妻とし、その実あなたは弥生ちゃんしか愛さなかった。
それでもいつか本当に振り向いてくれるかと……おしゃれをしたり……浮気をしたりしたわ。
でも、あなたは気付きもしなかった。
そんな無関心でいられて、私が平気でいたと思って?」


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