愛なんてない



咲子の悲しい気持ちとやるせない気持ちが吹き出した。


咲子は麻美のように叫ばなかったが、その静かさがなおのこと怒りと失望感を表す。


「結婚でさえ、あなたは自分に都合のいい環境を手に入れるだけの欺瞞に過ぎなかった。
いい年をして妻がいないと社会的に認知されないから、あなたは私を隠れ蓑として選んだに過ぎない。
愛のない囁きや行為に、私が気付かないとでも?
女はあなたが思うより愚かじゃない。

いいえ。
妹を愛してると言いながら、その実あなたは自分と同じ血同じ遺伝子しか愛せない。
つまりは自分しか愛せない。自己愛のみにしか満たされない虚しく愚かな人間なのだわ!」


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