愛なんてない
葵のことで理解したはずだったんじゃないのか!
どんなに愛していても、次の瞬間にはその存在が消えるかもしれない現実を。
人の命はうたかたの如き儚さと言うのに。
いつの間にか間近に在りすぎて、目が曇り見えなくなっていた。
あまりに自然で当たり前すぎて。
呼吸をするように、一体化したぬくもり。その存在に甘え寄りかかっていたのだ。
里美に勧められ、荷物を取りに一度アパートに戻った俺は。
そこにあった弥生の痕跡に胸が潰れる思いを味わった。