愛なんてない
キッチンには出来上がったシチューがある。
そして、俺は見つけてしまった。
居間の六畳間に砕けた写真立てがあることを。
それは、妊娠中の葵と俺の姿が写った写真。
ずっとずっと伏せていたのに、誰にも話してないのに。
なぜ弥生が――?
困惑しながら写真立てを拾うと、チャイムが鳴った。
そして、ドア越しに懐かしい声が聴こえる。
「京、帰ってるんでしょう? 開けてちょうだい」
俺がかつて愛した葵の双子の妹、弥生だった。