愛なんてない



葵は、死んだのだ。


もういない。


この弥生が同じ姿かたちを持っていても、宿す魂は心は違う。


ずっと、ずっと。俺は逃げていただけだった。





「……京……何かあったの?」


玄関から居間を覗いた弥生は、写真立てのガラスが砕け散った様子を不審に思ったらしい。


だが、俺はそれに触れず直接的に結果を口にした。


「望月……弥生。弥生が……俺の弥生が……自殺した……」


「自殺……? あの子自殺したの!?」


弥生の顔色が変わり、動揺が見えたのを俺は見逃さない。



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