愛なんてない



「弥生、おまえまさか……話したのか? 葵のことを!?」


俺は弥生に詰め寄り、腕を取って問い質した。


「痛い! 腕を放してよ!!」


弥生が痛がっても、泣き叫んでも、俺は容赦するつもりはない。


「どうなんだ、答えろ!」


俺は素早くドアを閉め、弥生を壁際に追い詰めた。


弥生はずっと黙ったまま。だが、それこそ肯定していると同じ。


俺だとて伊達にこいつと数年間付き合ってきた訳じゃない。


高校生から、約十年間仲のいい友人として付き合ってきたから。



< 385 / 412 >

この作品をシェア

pagetop