愛なんてない



「やっぱりおまえ……弥生に話したな。なぜだ?なぜそんな必要があった!?」


俺が詰問してしばらく弥生は黙ったままだったが。


しかし、彼女は俺の予想外の行動を取った。




突然俺の首に腕を回しすがりつくと、あっという間に唇を重ねてきたから。


そして、叫んだ。


「京のことが好きだからに決まってるでしょう! 私も会った時からずっとずっと京が好きだったのに……お姉さんがいたからあきらめて。
でも、お姉さんが亡くなっても京は私自身を見てくれなかった!
いつも抱くときにお姉さんの名前を呼んで……
この人は私に気持ちがないって思い知らされて、私がどんなに惨めで傷ついたか判る!?」


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