愛なんてない
「私がお父さんに連れ戻される時も、追って欲しかったのに! あなたは来なかった。
だからあきらめて婚約した政治家の息子との結婚式が3日後に迫ったの。
でも、私はずっとあきらめて後悔してきたから。
今度こそ京にさらって欲しかった。
なのに……どうして。他の女がいるのと憎くなった。
京が台所を使わせるほど心を許した存在が出来たと思うだけで。
嫉妬してどす黒い気持ちが止められなくて……お姉さんの話を。
ただ追い出したかっただけなのに。
まさか自殺するなんて。
ごめんなさい……京。ごめんなさい」
弥生はキスを繰り返しながら謝る。触れた唇が塩辛い。