愛なんてない
「……そんな格好で。帰るつもりだったのか?」
「え?」
相良先生が全く脈略がないことを言うから、わたしは困惑して先生の動きを見てた。
「風邪引くぞ。せめて車で送ってやる」
先生がキーケースを手に立ち上がろうとしたから、わたしは当初の懸念である“お兄ちゃんに1人暮らしが知られる”という問題を思い出した。
「ダメ! わたし……帰りません!!」
わたしはカバンを抱きしめたまま相良先生から後ずさり叫んだ。
「お兄ちゃんには知らせたくないんです! お願い!!」