小倉主膳介と河童


清瀬川(きよせがわ)まできた、主膳介(しゅぜんのすけ)は愛馬 雨竜姫(うりひめ)を乗り入れ、川を渡りはじめた・・。



すると、河童(かっぱ)がおどりでて悪さをしはじめた。


主膳介は、待ってましたとばかりに、不敵な笑みをし、河童をぐわしと片手で捕まえた。


河童を座らせ、一刀(いっとう)で切り捨てようとした。


河童は、涙ぐんで主膳介の腕(うで)をつかみ、


「命だけは助けてほしい。」

そう言って謝ったので、主膳介は、河童と同じ目線になるようにしゃがむと、優しく叱る(しかる)ように言った。


「おれは小倉(おぐら)というものだ。今後、川を渡るものに小倉の名を聞いたら、けっしていたずらするな。いたずらするとようしゃしないぞ」


そういいふくめ許してやると、河童は謝って淵(ふち)の中へ逃げていった。


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