これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
「我ながらこの勇矢さんの顔、かっこよくできたんだけどな」

 これを見た彼がどんな顔をするのか想像しながら作業を進める。生クリームの泡立てに思ったよりも時間がかかる。腕もいたくなってきたし、時間がなくて焦ってしまう。

 生クリームを泡立てるのってこんなに大変なんだ。

 今まで自分は本当に何も知らずに、この歳まで生きてきたんだと思う。そして、そんな私を見はなさずに、(ちょっと呆れているときはあるけど)付き合ってくれている勇矢さんには感謝しかない。

 時計を何度も確認しながら、なんとか玄関のチャイムが鳴る前にキャラチョコをケーキにのせた。イケメンの私の彼氏とふたりの縁結びのクロを模ったチョコがケーキの上にのっている。

 丁度冷蔵庫にしまい終わると同時に、勇矢さんが戻ってきた。

「お帰りなさい!」

 思いのほかケーキがうまくできたので、嬉しくて笑顔で出迎える。

 しかし勇矢さんの顔は、私と正反対だ。

 お、怒ってる?どうして?

「恵、俺ここを出るとき何って言った?」

「“行ってきます”ですか?」

 勇矢さんがため息をついた。
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