これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
「あなたのおっしゃったとおり、今日は晴れましたね」

「はい。気持ちいいですね。私こう見えても晴れ女なんです」

「昨日そのように伺いました。どこからどみてもそうに見えますよ」

私の言葉のどこがおかしかったのか、全然理解できなかったけど目を細めて笑っている顔を見ていると私の顔も自然とゆるんだ。

街中をゆっくりと走る車。私は外を見たりするふりをして、途中何度も運転中の高浜さんの顔をチラリと盗み見ていた。

ハンドルを握る手が筋張っていて、自分の手との違いを感じる。

シャツの袖口から見える大きな時計を付けている手首にも、父や兄とは違う“男”を感じてしまう。

私ったらもしかして“手フェチ”なのかも……。

「どうかしましたか?」

「え!? 何でもありません!」

大きな声になってしまって、動揺しているのがまるわかりだ。

急に大きな声を出した私を、彼はまたおかしそうに笑った。

高浜さんは笑い上戸だ。きっと……。

そんな私たちを乗せた車は、二十分ほど走ったところにある趣のある煉瓦造りの一軒屋へと到着した。
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