スイートな御曹司と愛されルームシェア
 あんなにひどいことを言った私に、今日彼は普通に接してくれた。また顔を合わせても、同じようにしてくれるだろうか。

 翔太くんがほかの人のものでも構わない。会いたい。

 ダメ、会えば苦しくなるだけ。忘れる努力をしなさい。

 そんな両極端な想いが心の中で葛藤して、胸が苦しくなる。

 思わず手で胸を押さえたとき、インターホンが鳴った。壁の時計を見ると午後八時。こんな時間に来るのは新聞の集金か宅配便くらいだ。咲良は立ち上がってインターホンの応答ボタンを押した。

「はーい」
「咲良さん、翔太です」

 通話口から聞こえてきた、今まさに考えていた人の声に、咲良の心臓が大きく跳ねた。咲良は短い廊下を走って玄関に行き、勢いよくドアを開ける。

「こんばんは。こんな時間にすみません」

 はにかんだような翔太の笑顔。彼の声を聞くだけで、姿を見るだけで、泣きたいくらいに胸が熱くなる。

「ううん、大丈夫。夜は遅い方だから」
「今でもそうなんですね」
「うん」

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