スイートな御曹司と愛されルームシェア
「コーヒーよりも先に味わいたいものがあるんですけど……」

 彼が逆の手を咲良の腰に回した。服の上からでもわかる、彼の熱く大きな手に、咲良の背中が甘い痺れを覚える。

「な、何?」

 咲良の声は上ずっていた。彼が上体を傾け、咲良との距離を縮める。

「言わないとわかりませんか?」

 わかる……けれど、翔太の野性的な光を宿した瞳に魅入られ、咲良は捕らえられた獲物のように身じろぎすらできなかった。彼が長いまつげを伏せ、端正な顔を傾けて、さらに近づいてくる。

「咲良さんですよ。グラウンドで再会してからずっと、こうしたいって思ってたんです」

 唇に彼の熱い息がかかった直後、翔太の唇が重ねられた。温かくて柔らかい唇。離れていた二ヵ月という時間を埋めるように、キスはすぐに熱く、深く、激しくなっていく。

「ん……しょうた……くん」

 貪られるような口づけに酔って膝から力が抜ける。くずおれそうになるのを、彼の首に両腕を回してしがみつく。

「咲良さん……」

 キスの合間に咲良の名前を呼ぶ少しかすれた甘い声、腰に回された力強い腕、胸に触れる逞しい胸板。何もかもが愛おしい。
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