スイートな御曹司と愛されルームシェア
百々花が小さく手を振った。二人で咲良と翔太のテーブルに来て、ぺこりと頭を下げる。
「今日は私たちの結婚式に来てくれてありがとうございました」
「こちらこそ、ステキなお式にご招待いただき、ありがとうございました」
堅苦しい挨拶を交わしてから、百々花がにっこり笑って咲良にブーケを差し出した。
「はい、お姉ちゃん」
「せっかくのブーケなのに、もらっていいの?」
咲良が見上げると、百々花が微笑みながらうなずく。
「幸せのお裾分け。白いブーケはブーケトスのときに友達にあげちゃったから、お姉ちゃんにはこれをあげる」
「わあ、ありがとう……」
受け取ると甘い香りがふわんと立ち上った。その濃厚な香りを、目を細めて味わう。
「それじゃ、翔太さん、お姉ちゃんをよろしくお願いしますね」
「任せてください」
翔太の返事を聞くと、百々花は「じゃ、ごゆっくり」と言って貴裕を促し、二人で行ってしまった。
お姉ちゃんをよろしく、だなんて、まだ何の約束もしてないのに……と咲良が申し訳ない気持ちで翔太を見ると、ちょうど咲良を見ていた彼と目が合った。