スイートな御曹司と愛されルームシェア
「咲良さん」

　そう言っておもむろにフロアに片膝をつく。

「え、何？　スーツが汚れちゃうよ」

　咲良があわてて翔太を立たせようと手を伸ばしたが、その手を彼につかまれてしまった。仕方なくソファに座ったまま彼を見る。翔太の決意を秘めた目に、咲良の心臓がトクンと音を立てた。

「咲良さん、俺と結婚してください」

　翔太の誠意のこもった口調に、咲良の胸が熱くなる。

　ほんの数時間前、百々花の結婚式に参列して、私もいつか翔太くんのお嫁さんになれたらいいな、とは思った。でも、今日この日にプロポーズされるなんて、想像すらしていなかった。それだけに、とても嬉しい。

「本当は三ヵ月後の咲良さんの誕生日にプロポーズしようと思ってたんだ。でも、今日、百々花さんたちの結婚式を見ていたら、俺も早く咲良さんと永遠を誓い合いたくて、我慢できなくなってしまった。咲良さんに一生そばにいてほしい。咲良さんは俺じゃダメですか？」

　最後の一言は、少し切羽詰まった響きを帯びていた。息を詰めて見つめてくる彼に、咲良は考えながら返事をする。

「ダメじゃない。あ、ダメ」

　とたんに翔太の表情が曇る。
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