スイートな御曹司と愛されルームシェア
電話口から聞こえてきた決然とした母の口調に、咲良は首を傾げる。
「決めたって何を?」
『あなたのお見合い相手を探そうと思って』
母の声に、咲良の眠気が吹き飛んだ。
「は? 何ですって?」
『今日電話をかけたのはね、あなたに恋人がいるかどうか確かめるためだったの! そうじゃないみたいだから、薫ちゃんのだんなさんに会社の人を紹介してもらうわね。だから、一刻も早くお見合いをしなさい』
「ちょ、ちょっと待ってよ、そんな急に」
(私にだって好きな人はいるんだから)
そう思ったとき、胸がズキンと痛んだ。それはこめかみの痛みよりもひどくて、咲良は思わず手を胸に当てた。視線を落としたそのとき、ベッドの上で何かが動いた気がする。怪訝に思いながら右側に視線を向けると、盛り上がった毛布がもぞもぞと動いて、柔らかそうな栗色の髪の毛が覗き……続いて眠そうな若い男の顔が現れた。
「決めたって何を?」
『あなたのお見合い相手を探そうと思って』
母の声に、咲良の眠気が吹き飛んだ。
「は? 何ですって?」
『今日電話をかけたのはね、あなたに恋人がいるかどうか確かめるためだったの! そうじゃないみたいだから、薫ちゃんのだんなさんに会社の人を紹介してもらうわね。だから、一刻も早くお見合いをしなさい』
「ちょ、ちょっと待ってよ、そんな急に」
(私にだって好きな人はいるんだから)
そう思ったとき、胸がズキンと痛んだ。それはこめかみの痛みよりもひどくて、咲良は思わず手を胸に当てた。視線を落としたそのとき、ベッドの上で何かが動いた気がする。怪訝に思いながら右側に視線を向けると、盛り上がった毛布がもぞもぞと動いて、柔らかそうな栗色の髪の毛が覗き……続いて眠そうな若い男の顔が現れた。