スイートな御曹司と愛されルームシェア
「うん。私……妹と違って子どもの頃から要領が悪かったから、とにかく真面目にコツコツやることしかわからなかったのよね。でも、やったらやったぶんだけ成績が伸びた。努力して報われたことがすごく嬉しくて。だって、恋愛だと、いくら努力しても報われないことだってあるでしょう?」

 彼氏と呼べる存在が二度ほどできたが、真面目でお節介焼きな咲良は、そのどちらの相手にも最後は鬱陶しがられて振られてしまった。その高校と大学での失恋を思い出すと、今でも少し苦い気持ちになる。あの頃から内面的に少しは成長できたんだろうか。

「まあ、そうですね」

 翔太の曖昧な返答に、彼のような性格と容姿の持ち主なら、恋愛で報われないことなんてないのかもしれない、と思って、咲良は小さく首を振って続ける。

「高校生のとき付き合った男の子が大のミステリ好きで、彼と話を合わせたくていろいろ読みあさったの。そのうち興味が出て原書を読んでみた。辞書を引きながらだからすごく時間がかかったけど、翻訳では出せないシャレとかが理解できたとき、すごく嬉しくて、おもしろいなって思ったのよ」
「それで、英文学科に進学したんですね」

 翔太が静かな声で言った。

「そう。もちろん授業ではシェイクスピアとかも読まされて、結構大変だったけどね。でも、読めば読むほど知識が増えて、楽しくなった」
「彼とはその後どうなったんです?」

 翔太の言葉に、咲良は苦笑する。

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