スイートな御曹司と愛されルームシェア
感心しながら咲良が座ると、翔太が照れたように後頭部を搔いた。
「うちは母子家庭でしたから、母が仕事で遅いときは俺が料理をしてたんで」
「そっか……」
私の方が三つも年上なのに、天ぷらも満足に揚げられないなんて、なんだか恥ずかしい。
「翔太くんは本当にいい子だね」
しみじみと言うと、彼が不満そうな口調で答える。
「名前で呼んでくれるようになったのは嬉しいんですけど、子ども扱いされるのは男として嫌ですね」
大人の男性だと意識したら一緒にいられないわよ。
その気持ちを咲良は別の言葉で伝える。
「子どもだと思ってるから、うちに置いてあげてるのよ」
「何も言い返せないところが悔しい」
そう言った翔太は本当に悔しそうだ。
「悔しいと思うなら、新しい仕事を見つけてお兄さんたちから独立したら」
咲良の言葉に翔太は視線を落として考え込んだ。古傷をえぐるような発言だったかしら、と咲良が思ったとき、翔太が顔を上げた。
「そうですね。まずは今後について考えなければいけませんね」