スイートな御曹司と愛されルームシェア
「な、何がおかしいのよっ。そ、そりゃ確かにあなたのような人なら、出会ったばかりの女と一夜を過ごすこともあるんでしょうけど、わ、私はそういう女とは違うんだからっ」

 咲良が真っ赤になって睨みつけると、彼は一瞬目を見開いたと思ったら、次の瞬間には大きく吹き出し、腹を抱えて笑い出していた。

(な、何? なんで私、この男にこんなに笑われているわけ?)

 訳がわからず、咲良がきょとんと見つめていると、彼はひとしきり笑った後、目尻にたまった涙を拭って言った。

「や、びっくりしたな。〝これ以上いやらしいことをするなら〟って、まるで俺が咲良さんにいやらしいことをしたみたいじゃないですか」

 男が笑いの混じった口調で言った。咲良は小さく眉を寄せ、彼が言った内容を頭の中で反芻する。

(〝まるで俺が咲良さんにいやらしいことをしたみたいじゃないですか〟?)

「じゃ、じゃあ、あなたは私に何もしてないってこと?」

 男が含み笑いをしながらうなずくので、咲良はさらに男に詰め寄って念を押すように言う。

「あなた、本当に何もしてないのね?」
「してませんよ」

 俺は無実だ、とでもいうように、男が胸の前で両手を挙げた。よかった、と安堵したのも束の間、彼がギョッとするようなことを言う。

「むしろしたのは咲良さんの方でしょ?」
「えっ」
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