スイートな御曹司と愛されルームシェア
 その言葉に咲良は青ざめた。したのは私の方って? じゃあ、私が彼を襲ったってこと?

「そんなぁ……」

 咲良はへなへなとその場に座り込んだ。

(私、なんだってそんなことを……)

 頭を抱える咲良に、男が笑いすぎて潤んだ鳶色の丸い目を向ける。

「そんなに落ち込まないでくださいよ。俺はすごく助かったんですから」
「助かった?」

 怪訝そうに見上げる咲良に、男がにっこり笑って「はい」と言う。その笑顔はこんな状況でも思わず見惚れてしまうほど眩しい。

(や、そうじゃなくて。私、どうしてこの人を家に入れたのよ? 名前も知らないのに!)

 そこまで考えてハッとした。目を見開いた咲良を見て、彼が不思議そうに「咲良さん?」と問いかけてくる。

(そうよ、そもそもなんでこの人、私の名前を知ってるのよ)

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