秘密の館
ベッドの上で腰を落としている海人と
ベッドの上で女の子座りしながら、目を
キラキラさせて本を楽しみにまっている真
美。
海人が時計をふと見ると、8時になってい
た。
まだ6歳の真美は、本の読み聞かせをした
らすぐに寝る時間だった。
........シュー。
体制はそのままで海人は妹のために、本の
ページを開いた。
この本は国語の教科書にも載せられていた
記憶が彼にはある。
あらためて、妹の本を選ぶセンスを誇りに
思いながら読み聞かせを始めた。
「太平洋戦争末期、沖縄本島に上陸してき
たアメリカ軍と日本軍との間では、激しい
戦闘が行われていた。軍医大尉である “私”
は、小禄飛行場を本部とする南西諸島海軍
航空隊の医務科分隊長であった。 “私” たち
の部隊は、壕に立て籠もってアメリカ軍に
抵抗したが、多くの戦死者を出した。1945年5月下旬、 “私” は、生き残った
部下を率いて小禄陣地を脱出し、そこから
2キロメートルほど離れた沖縄方面根拠地
隊の陣地にたどり着いた。どれほどの時間
がたっていたのか、私は、ふと誰かが私の
枕もとを通り過ぎていくのを感じ、不意に
目覚めた。」
海人はふと、真美のほうを見ると
真美は眠そうにくたくたと横になってい
た。
その様子を見て海人は、本を閉じた。
「........おやすみ。」
そう言うと、真美に布団を優しくかけてあ
げてから 自分も真美の隣に寝たのだった。